第41回医学研究院・医学部FD開催報告

平成29年8月10日(木)、11日(金)、第41回医学研究院・医学部FD(Faculty Development)が札幌北広島クラッセホテルにおいて開催されました。

午前9時に医学部をバスで出発後、車内で自己紹介が行われ、午前10時に札幌北広島クラッセホテルに到着しました。開会の挨拶が吉岡医学研究院長から行われ、医学教育推進センターの大滝統括副センター長より「FDについて」の講演があり,FDの成り立ちやワークショップについての説明が行われました。基調講演として、「大学院教育:研究医養成の推進―現状と課題」として教育担当副研究院長の篠原教授より講演が行われ、基礎研究者が絶滅危惧種となりつつあり、日本の基礎医学研究分野での国際的地位の低下の説明がなされました。また医学教育における試みとしてイギリスなどの海外の例や東京医科歯科大学の例を挙げて具体的事例を説明されました。吉岡医学研究院長からは日本の基礎研究医養成活性化プログラムについて説明があり、病理学や法医学分野等の基礎研究医の養成に国が予算をつけているとの説明がありました。


引き続いてのグループ検討では、テーマを「大学院教育:研究医養成の推進―現状と課題」とし、4つの班にわかれ、それぞれのテーマを①MD/PhDコース、②学部学生の研究へのエントリー、③クラークプログラム、④臨床医学コースとし、各班でテーマに基づいた検討がなされました。まず研究医養成の現状と課題として、①MD/PhDコースでは、北大のMD/PhDコースの利点として、同級生と同時に医師国家試験を受験できる(他大学はいったん医学部のカリキュラムを離れることが多い)といったことがあげられました。一方問題点として研究だけではポスト維持が困難
なこと、同時に医師国家試験を受験することができる反面、その後専門医を取得するなどキャリアパスが明確でない、研究をドロップアウトせざるを得ない場合はMDが必須であることがあげられました。②学部学生の研究へのエントリーでは、現状として学部学生のそもそもの目的が臨床医でありMD/PhDではないこと、MDの方が将来設計が立てやすいこと、研究者の経済的問題といったことや、研究室に出入りする学生の中でも本当に研究を志している学生は少数であるといったことがあげられました。③クラークプログラムでは、当制度の利点として学生時代に研究したい内容が定まっている人は早く研究でき、その後の留学などが有利になること、初期臨床研修を受けながら研究できるので臨床医として働く道があることがあげられました。問題点としては多くの臨床系の講座では基礎研究に割く時間がないこと、新専門医制度との兼ね合い、研究内容の設定などがあげられました。④臨床医学コースでは、現状として北大は旧帝大の中で最も大学院生が少ないことがあげられ、利点としては思考力・プレゼンテーション力、臨床推論力の育成、基礎研究に適性がある人材の発掘、臨床の指導力向上などがあげられました。一方問題点として臨床から離れること、時間と金銭の確保の問題、研究のレベルが担保されているかどうかの問題などがあげられました。その後、研究医養成の推進として、北大病院臨床研修センターの石森副センター長より初期臨床研修における取り組みが紹介され、新専門医制度、臨床研修制度の光と影などの関連付けながら説明がなされ、当センターの小野澤教育助教より臨床診療科における大学院教育の現状について説明がなされました。続いて研究医養成の推進について各班より発表が行われ、①MD/PhDコースでは、MD/PhDコース修了後のキャリアパスについてロールモデルの充実、助教枠の追加、留学の推進といったことがあげられ、MD/PhDコースの勧誘には学生と研究の距離の縮小が必要なこと、また総合理系の人を勧誘するといったこともあげられました。②学部学生の研究へのエントリーでは、研究志向のある学生をリクルートするための事項があげられ、よい研究、よいロールモデル、魅力的な講座、輪読会、学生の短期雇用支援員としての雇用、研究紹介、入試の研究者枠の検討、研究した学生への賞の授与などがあげられました。③クラークプログラムでは、当プログラムの学生への周知、新専門医制度との兼ね合い、臨床医も可能な制度への改定、各科での当プログラムの実施の可否の検討といったことがあげられました。④臨床医学コースでは、大学院生として勧誘する対象を増やすこと、インセンティブのアピールや活躍する医師のロールモデルのアピールといったことがあげられました。

毎年恒例となった夜のディベートでは、「基礎医学授業完全英語化、是か非か」というテーマでフーマン・グーダルズィ教育助教の司会の下、賛成派・反対派に分かれてのディベートセッションが行われました。最後まで「是」グループが圧倒的に優勢かと思われましたが、「非」グループの放射線科曽山助教による絶妙な最終反駁で一気に盛り返し、最終的には「引き分け」という結果になりました。

 

 

2日目の「留学生受け入れについて」では理学研究院 国際化推進室の河村室長より理学研究院・理学部における国際化の状況について説明が行われ、国際化支援室の説明、基本活動方針(受け入れ教員の負担軽減、秘書業務は行わず自立を促す、留学生獲得を目的とした海外広報を行うなど)、支援対象(留学生、外国人教員・研究員、留学希望者、日本人学生留学希望者など)、留学生支援(受入時、在学中)、外国人教員・研究員支援(受入時、在職中)についての具体的説明がありました。続いて医学研究院 国際連携室 畠山教授と村上助教より医学部における学生受入・派遣についての現状と課題が報告されました。畠山教授からは国際連携室の部局内でのポジションと人員体制、学部レベルの学生の受入・派遣の現状、大学院レベルの入学者(修士・博士課程)の現状の説明が、村上助教からは国際連携室の業務内容、国際連携機構・国際部や病院国際医療部との違い、学部レベルの学生の受入・派遣で実際に起こった問題、大学院レベルの入学者で実際に起こった問題、国際連携室が抱える問題についての説明がなされました。

最後に閉会の挨拶が久住医学科教務委員会委員長、修了証書授与が吉岡医学研究院長より行われ、閉会となりました。

本年度のFDは、北海道大学だけでなく日本全体が抱える研究医養成について、情報共有及び議論が行われました。臨床中心で行われている現在の医学部・卒後教育では、研究の視点を積極的に取り入れることが今後の課題であると感じました。お忙しい中多数の方にご参加頂き,誠にありがとうございました。

 

文責:折茂 達也