医学部医学科 糸賀 稜
留学先:シンガポール国立大学(NUS)(シンガポール)
期間:2017年6月5日~6月30日
留学の種類:北海道大学医学部医学科 正規派遣
留学時の年次:6年次
2017年度の北海道大学医学部医学科の正規派遣にて、シンガポール国立大学(NUS)で4週間の海外実習をさせていただきました。以下に、実際に私が体験した実習までのプロセスをご報告いたします。
なお、これらの事項は2017年度派遣時のものであり、現状にあっていないかもしれません。また、書き漏らしや間違えがあるかもしれないので、必ずNUSやMOMなどの公式ページを参照し、この報告はあくまで参考としてご利用ください。
実習までの手続き・準備
学内選抜に合格した後、実際の海外実習に至るまで、様々な手続きや準備をしました。
1. NUSのプログラムに応募
2.宿泊場所の確保
3.航空券の確保
4.ビザ:Work Holiday Pass
5.保険
1. NUSのプログラムに応募
(1) サイトで申込
NUSのWebサイト(https://itumed.nus.edu.sg/scep/)より実習の申込みをする。
画面に従いパスポートの顔写真(500×514px)や保護者情報といった必要事項を記入し、BEA applicantはYes、PEG holderはNoを選択し、previous clinical postingには一年間臨床実習をした(する予定である)旨を記入する。
記入を進めていくと、実習期間の入力と、第四希望まで病院と診療科を入力する画面になる。この希望順位をもとにNUSを通して各病院の実習受入れを調節してもらい、マッチした病院、診療科で実習することが決まる。この希望は4週間×1病院・診療科を選択しても、2週間×2病院・診療科を選択してもよい。
NUSのプログラム一覧(https://itumed.nus.edu.sg/scep/posting.aspx)を見ながら検討した。プログラムによっては受け入れられない日程があるので注意しよう。
Application numberが発行されれば第一段階は完了。このApplication numberとパスワードで自分のページにログインできる様になる。
マッチした旨がメールで届いたら、webページからAcceptするのを忘れずに。
(2) 必要書類を揃える
必要書類を集めなければならない。必要書類は以下のとおりであるが、正確な情報はhttps://itumed.nus.edu.sg/scep/apply.aspxを見てほしい。(実習費用に関する書類は必要ない。)
1 | Application Checklist | 自分で記入 |
2 | Letter of Good Standing | 北大側が準備 |
3 | Personal PPE | 北大側が準備 |
4 | Medical Report | 下記参照 |
5 | Personal PPE | 学研災・付帯賠or付帯学総。 教養の教務に取りに行く。 |
6 | Health Insurance | 海外旅行保険証 |
1、4についてはhttps://itumed.nus.edu.sg/scep/apply.aspxよりダウンロードできる。この内、1〜4はNUSに原本を北大を通して郵送する。国際連携室でチェックを受けた後に医学科教務に持っていく。これらの書類がNUSに届かないとマッチングに進まないので早めに準備しよう。5〜6については実習開始の2ヶ月前までにスキャンしてメールで送れば良い。
(3) Medical Reportについて
必要書類のうち一番厄介なのはMedical Reportで、自分で記入するものと、病院に行って医者に記入してもらうフォームと、各種抗体検査、感染症検査を行って検査の原本とその結果を英訳したものを送らなければならない。必要な抗体検査、ワクチンについては以下の通り。ダウンロードしたMedical Reportのフォームを見ながら確認してほしい。
麻しん、風疹、ムンプス、水痘 | ワクチン接種証明または抗体検査の結果 |
百日咳 | ワクチン接種証明 (Tdap) |
B型肝炎 | 抗体価 (HBs ≧10mlU/ml) |
C型肝炎、HIV | スクリーニング検査の結果 |
インフルエンザ | 接種は必須ではない |
自分で検査結果をどう記入してほしいのかの雛形を作って病院に持っていったほうがスムーズに事が進むと思う。今回の派遣では麻しん、風疹、ムンプス、B型肝炎は抗体検査をし、百日咳はワクチン接種を行った。過年度の人は全部打って(!)接種証明を英語で書いてもらったらしい。百日咳のワクチンを打つ場合、Tdapは日本ではもう生産されていないので、DPT(+ポリオ)というワクチンを打つことになると思う。この場合にはDPTがTdapに相当する旨の文章を添付したほうがいいかもしれない。市立札幌病院には海外旅行者向けのワクチンを扱う外来があるので、良さそうな病院がない場合は相談してみるといいだろう。
病院とのマッチングには3ヶ月程時間がかかる。また、書類を送ってもステータスが変化しない場合があるが、確認作業中だったり単純に入力忘れだったりする。心配な場合はNUSにメールで確認しよう。
2. 宿泊場所の確保
NUSのプログラムでは宿泊場所は提供されないため、早めにbooking.comやhotels.comなどを駆使して宿を探そう。大体のホテルはシンガポールの中心地にあり、ビジネスホテルでも一泊1万円〜2万円程度するので覚悟しよう。安すぎるところはQOLが低い&治安が悪い場合もあるので、30連泊することを念頭に置いて考える事。Airbnbも同様にリスクを考えて使おう。現地に行って泊まれなくて30泊できるホテルを探すのは大変。安宿の多くあるゲイランは風俗街でもあるので注意する。MRTの駅の近くであれば移動に困ることは殆どないが、実習病院からの距離も考えて決めよう。外科系では毎日7:30集合なんてこともある。
学生向け私設寮もあるらしいが、今回は利用しなかったので自分で調べてみてほしい。
3. 航空券の確保
シンガポールへは多くの航空会社が乗り入れているので如何様にしてもたどり着くことができる。Skyscannerで安い運賃を探すことができるので、使ってみよう。今回は羽田経由のJALで往復7万円程度だった。早ければ早いほど安く買えるのかもしれない。
4. ビザ : Work Holiday Pass
シンガポールで臨床参加型実習、つまり手を動かす実習をするためにはWork Holiday Passを手に入れなければならない。
渡航前に必要書類の送信と、発給のためのEmployment Pass Service Center(EPSC)の予約を行い、渡航後にEPSCでビザの発給を受けるという流れになる。
(1) Ministry of Manpower(MoM)のWebページ(http://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/work-holiday-programme)をよく読む。
(2) Work Holiday Pass application form(以下フォームとする)をダウンロードし、Wordで埋める。
(3) 英文の在学証明書を医学科教務に取りに行く。既成の形式では必要事項が足りないので名前、国籍、生年月日を入れたものを作ってもらう。これは早めに頼んだほうがいい。
(4) 渡航3ヶ月前を過ぎたらフォームと在学証明書、パスポートの写真ページ、学生証をスキャンしてMoMにメールする。アドレスや件名はWebページに書いてあるのでそれに従う。
IPA letterが発行されてから3ヶ月以内にパスを現地で取らないといけないので、渡航3ヶ月前を過ぎてから申し込むこと。
(一回申し込むと1年間は次の申し込みができないはず…)
(5) 3週間ほどで返事が来る。In-principle approval letter(IPA letter)が添付されているはずなので、印刷して必要事項を埋め、シンガポールに持っていく。
(6) EPSCに行きたい日の2週間前位になったらEPSCに行くための予約をWebページでとる。(http://www.mom.gov.sg/eservices/services/make-an-appointment)Pass Issuance / Renewal / Cancellationの枠で予約し、グループとして予約が取れるので二人で行くこともできる。メールで予約の詳細が届くので、印刷してシンガポールに持っていく。
(7) (ここからシンガポールで行う)EPSCに予約した時間に行く。場所はgoogle mapで検索できる。このときにIPA letter、EPSCの予約票、帰りの飛行機のE-チケット控え、パスポート、入国カード(入国時に記入し、審査官がパスポートに挟んでくれる)を忘れずに持っていく。ビザ発給には180SGDかかるのでこれも準備しよう(クレジットカード可)。
(8) EPSCについたら係の人に従って連絡先、滞在先の登録→支払い→顔写真の撮影→指紋の登録と進んでいく。最後まで行ったらカードが出来あがる日を教えてもらえる。(カードができるまではその時渡される引換証がビザの役割を果たす)
(8) カードを後日取りに行く。
書き上げるとめんどくさそうだが、MoMのWebページは読みやすく、EPSCも非常に効率的なのでおもったよりも簡単である。
5. 保険
海外旅行保険は加入必須である。
JCSOSという留学生向けのサービスと連携している、東京海上の海外旅行保険に加入しよう。Webページ(http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/travel/kaigai/)から自分で加入する。費用は1万2千円程。
JCSOSは国際連携室が加入の手続きをしてくれるので、請求書に従って保険料を振り込む。こちらは、シンガポール・1か月で5000円ほど。