【海外留学報告】ソウル大学校(大韓民国)中川 恵

医学部医学科 中川 恵
留学先:ソウル大学校(大韓民国)
実習期間:2019年5月13日~6月8日(4週間)
留学の種類:北海道大学医学部医学科(医学教育・国際交流推進センター主導)トライアル派遣
留学時の年次:6年次

1. 実際に実習にかかった費用

A. 交通費

  • 航空運賃:大韓航空往復 40,210円
  • 国内での交通費:1,760円
  • 現地での交通費:113,500ウォン(約11,350円)

B. 宿泊費

キャンパス内のゲストハウス:25,000ウォン/泊x30日=750,000ウォン(約75,000円)

C. 生活費

  • 31日間の食費:489,300ウォン(約4万8千円)
  • 日用品購入費用(掃除用具など):12,600ウォン(約1,260円)

D. その他手続きにかかる費用

  • ソウル国立大学は北海道大学の協定校であるため、実習の出願料、授業料はかからなかった。
  • 英語の診断書:1枚2,000円程度

A型肝炎ワクチン(事情により3回とも違う医療機関で受けた):1回目8,640円、2回目7,000円、3回目6,500円
ツベルクリン反応検査:1,500円
その他のワクチン、胸部X線検査:別の機会に受けていた。

  • インターネット通信料(Wifiルーターレンタル):73,500ウォン(約7,350円)
  • 海外保険(付帯海学):8,240円

2. 事務手続き

A. 実習の申込登録・確定までの流れ

ソウル国立大学は学部間協定ではなく大学間協定なので、留学の手続きは全学の国際連携機構を通さなければならず、国際連携室から連絡をとっていただいた。
ソウル国立大学への医学生の派遣は初めてで、当初は臨床留学という形では派遣は難しいと伝えられた。しかし交渉していただいた結果、まず自分たちで相手大学に連絡を取り、派遣が実現しそうであれば国際連携機構に申請し、北大の派遣枠を使用する形で留学させてもらうという方針になった。
ソウル国立大学医学部には、海外からの臨床留学を受け入れているVisiting student programがあった。私たちの臨床実習カリキュラムで応募資格があるか、他の国の大学からも応募があるという点で競争率はどうなのかなど当初は情報が全くない状態であった。
相手大学とコンタクトが取れるかを確認するために、医学部の国際部担当者宛て(ホームページに載っていたOffice of International Affairsの連絡先)にメールを送った。メールに私たちの実習カリキュラムを記載し、Visiting student programに応募する資格があるかを確認したところ、応募可能であるとの返事を頂いた。
ホームページの案内では正式な応募は10月頃となっていた。7月末に6年次の選択実習の希望調査があるためトライアル派遣の時期を早めに知りたいことや、派遣が実現できそうかどうか確認したいこともあり、可能であれば相手大学から内諾を得られると理想的だった。以前ソウル国立大学のOIAの方と国際連携室の先生が連絡を取っていたと伺ったため、連携室の先生にメールのやりとりに入っていただいたところ、派遣について前向きなお返事を頂いた。派遣希望時期と希望診療科をそれぞれ第三希望まで伝えたところ、第二、三希望の時期で受け入れ可能とお返事を頂いた。ホームページでは応募書類は原本郵送と書かれていたが、9月中にメールで書類を提出するように言われ、正式な応募に向けて準備を始めた。
8、9月の夏休みを使い書類の作成を行った。必要書類は以下の通りである。

① Application form

志望理由は第三希望までの診療科について書き、英文を同期の人に何度か添削してもらった。

② Curriculum Vitae(履歴書

既定のフォームはないので、書くべき内容を昨年臨床留学に行った先輩に教えてもらったり、ネットで検索して見本にしたりしながら作成した。先方の担当者にも伺ったところCVのサンプルを送っていただけた。

③ Official transcript of academic record(成績証明書)

教養棟にある証明書自動発行機で発行した。

④ Official letter from Associate Dean

大学が発行する公的な書類で、国際連携室に作成を依頼した。発行に2~3週間かかるため、9月の提出に間に合うよう8月初旬に申請した。流れとしては、公印・学部長の署名がない状態の原稿をまず作成してもらい、先方の担当者にメールで送って内容に問題がないことを確認したうえで、公印・学部長の署名を頂き、原本を8月末に医学科教務担当の方から受け取った。

⑤ Immunization and Tuberculosis Screening Record(英語の診断書)
(後述)

 

⑥ Tuberculosis Screening Questionnaire(後述)

 

⑦ パスポートのコピー

•  応募書類はメールで送ることになっていたので、全てスキャンしてデータ化し、1つのPDFファイルの形にして9月24日に先方に提出した。
提出の際、個人情報が含まれていることを考慮してパスワード保護の設定をして送ったところ、パスワードなしで送るか原本を郵送するように言われたため、10月5日に改めてパスワードなしのPDFファイルを提出した。
その後、先方から日程調整のメールがあり、当初希望していた日程ではなく相手大学が指定しているプログラム期間(5月13日~6月7日)に合わせる形になった。11月末頃、国際連携室あてにメールで正式なAcceptance letterが届きトライアル派遣が確定となった。
Acceptance letterのメールにキャンパス内のゲストハウスと近隣のゲストハウスの情報を載せてくだっていたので、キャンパス内のゲストハウスを予約した。
派遣先のDepartment of Family Medicineでは、Assistant professor の先生が担当してくださるとのことだったので、2019年4月の初めにメールを送り、実習初日の集合時間・場所を確認した。その後、学生担当のレジデントから改めて実習の日程や、日本の医療制度・自大学の医療についての紹介のプレゼンを用意してくるように伝えられた。
4月下旬に、オリエンテーションの日時・場所とその他の最終の案内についてのメールを受け取った。

B. 実習場所

ソウル国立大学病院、家庭医療科、4週間

C. 航空券

大韓航空、新千歳空港と仁川国際空港の往復

D. 宿泊場所

SNUCM Global Center:
最寄りの恵化駅からは徒歩10分ほど、大学病院までは徒歩7分ほどでアクセスは良かった。個室で、トイレ・シャワー、机、ベッド、クローゼット、オープンのWi-Fiと有線LANがあり洗濯機、台所、冷蔵庫は共有だった。タオル、石鹸、シャンプーも部屋にあり、タオルは交換してもらえた。

E. ワクチン

必要なワクチン・検査:麻疹、風疹、ムンプス、水痘、B型肝炎、A型肝炎ワクチン、IGRAまたはツベルクリン反応検査、胸部X線検査
• A型肝炎ワクチンは応募前に2回受けなければならず、生ワクチンで期間を空けなければならないので、応募に間に合うように注意した。
• IGRAは値段が高かったため、ツベルクリン反応検査を受け、BCGの接種歴があるとツ反が陽性になるので、Tuberculosis Screening Questionnaireの”history of BCG vaccination”の欄に”Yes”とチェックを入れて提出した。

F. ヘルスチェック

所定のImmunization and Tuberculosis Screening Recordに、英語で医師の署名、医療機関の公印をもらう必要があった。必要な検査を受けるか、すでに受けている検査やワクチン接種歴などは結果を持参して記載してもらい、署名・公印をもらった。私が受診したクリニックは1枚で2,000円+消費税、1枚増えるごとに+500円だった。

G. ビザ

札幌の韓国領事館に確認したところ、90日以上滞在する場合にビザが必要で、90日を超えないという条件でパスポートのみで滞在できるとのことだった。実際に現地で提示を求められることはなかった。

3. 実習内容

ソウル大学病院本館

伝統家屋が並ぶ北村(プクチョン)

【オリエンテーションについて】

実習が始まる前週の金曜日に、5月に滞在する留学生が全員集まるオリエンテーションが医学部のOIA(Office of International Affairs)で行われた。メールでやりとりをしていた担当者の方からIDの配布、電子カルテの説明、病院の案内などがあった。今回は私たち北大生のほかに徳島大学から一人、またニュージーランド、オーストリア、ドイツ、トルコ、シンガポール、フィリピンから合計13人の留学生が来ていた。宿舎が同じ学生も多く、オリエンテーション後に現地の学生が企画してくれた食事会で交流することができた。

【実習の概要】

Seoul National University Hospital(以下SNUH)のDepartment of Family Medicineで4週間実習させていただいた。初日は、事前に連絡を取っていたAssistant professor の先生からオリエンテーションがあり、韓国の医療制度などについてレクチャーを受けた。実習内容は外来見学で、午前か午後どちらかのみで、一日実習の予定がない日もあった。そのため自由時間は比較的多かった。実習に慣れてきた3週目に、もう一度見たい外来を空いている時間帯に入れてもらうこともあった。実習スケジュールはStudent chief resident(学生担当のレジデント)が組んでくれるが、学生担当が月ごとに変わるので、6月のスケジュールは改めて連絡をとって組んでもらう必要があった。

【Family Medicineでの実習】

実習では毎日違うProfessorの外来を見学した。診察室にはProfessorのほかにResident(日本の後期研修医に相当する)と看護師がおり、見学の際はProfessorかResidentのそばで電子カルテを見ながら見学した。先生と患者さんの会話は韓国語で、私は韓国語を趣味程度ではあるが勉強していたため理解できる部分があったが、詳しい問診内容や治療の方針など医学的に重要な情報はなかなか聞き取ることができなかった。一人の診察が終わるとすぐ次の患者さんが入ってくるためその場で質問はできなかったが、時間が空いたときに先生が患者さんについて教えてくださったり、レジデントの先生がそばにいるときは英語で説明してくださったりした。初日の外来である先生が韓国語の医学用語をいくつか教えてくださり、その後の外来見学でもとても役に立った。医学教育の大部分が英語で行われているため、電子カルテは医学用語が英語で書かれていて(韓国語も混ざっているが)参考になった。
このように、症例を詳しく勉強するのは難しかったが、どのProfessorも外来の最後に質問の時間を設けてくださり、韓国の医療について伺うと丁寧に教えてくださった。先生方は皆英語が堪能なので、韓国語が分からなくても英語で教えてもらうことができた。家庭医療科は病棟がないため先生方と顔を合わせるのは外来見学のみで、ゆっくりお話しできる機会はあまりなかったが、いろいろな先生とお会いでき貴重な経験になった。

家庭医療科の先生方は専門の分野が様々で、家庭医の診療の幅が広いことに驚いた。具体的にはOutpatient(一般外来)のほかにCancer Survivorship Clinic, Health Promotion Clinic, Pain Clinic, Environment and Occupation Clinic, International Healthcare Centerを見学した。

Cancer Survivorship Clinicは癌の治療を専門科で終えた患者さんが、専門科でのフォローから家庭医療科での長期的なフォローに切り替わり、診察を受けるというものだった。近年では多くの癌患者が治療後5年以上生きることができ、それに伴い再発や治療による二次癌のリスク、他の健康障害を考慮した長期的なサポートが重要になってきた。このClinicではそれらを予防するために定期的に診察し、健康状態の評価や適切な食事、運動の指導などを行っていた。
Health Promotion ClinicはSNUHで健康診断(人間ドックのような任意のもの)を受けた人が医師から結果の説明を受ける外来で、診るのは基本的に健康な人たちだった。主に血液検査の結果をもとに、脂質異常症、糖尿病、高血圧症、肝機能障害の有無や適切な食事、運動について説明していた。投薬など治療が必要な場合は、その後も一般外来でフォローされていた。
とても興味深かったのがInternational Healthcare Centerで、家庭医療科と別の場所(SNUHの本館)にある外国人患者のためのクリニックだった。いくつかの診療科の医師が所属して外来を持っており、家庭医療科の先生が一人いらっしゃったため見学することができた。旅行者だけでなく韓国に住む外国人を定期的に診ているとのことだった。この施設は韓国政府が医療の国際化を推進し多くの外国人患者を受け入れてきたことからできたもので、医師や医療スタッフは皆英語に加えて他の言語も堪能だそうでとても驚いた。先生はInternational medical treatmentがご専門の一つで、英語で病歴聴取、身体診察を行い、考えられる診断や治療方針を分かりやすく説明されていた。患者さんの国籍や受診の経緯は様々で、文化的、宗教的背景の違いを理解することが大事だと教えてくださった。韓国と比較すると日本はこれまで医療の面で外国人を積極的に受け入れる体制は整っておらず、近年国際化に向けた取り組みが進んでいると聞く。言語面では外国人が医療機関にかかる際は主に通訳者や通訳システムを使うため、両国の違いを感じることができた体験だった。
家庭医療科の外来見学を通して印象的だったのは、食事や運動の内容について医師が具体的に指導している点だった。家庭医療科はプライマリケアの役割があり、治療に至る前のsubclinicalな段階の患者を長期的に診ているため、治療に加え疾病の発症を予防するという面が大きいと感じた。外来ではどの患者さんにも、一日にどれくらいの時間運動しているか、どのような運動をしているかと具体的に問診し、血液検査所見が前回から改善したか、薬物治療が必要な段階ではないかなどを評価していた。食事について、HbA1c値が境界域の患者さんには韓国の人が好んで食べる「국・탕(クク・タン、スープのようなもの),찌개(チゲ、鍋料理)など塩分の多いものや국수(ククス、麺)は避けたほうがいい」などと注意を促しており、韓国の食習慣を垣間見ることもできた。高齢者には何度も「고기(コギ、肉)をしっかり食べて運動して!」と話しており、聞くと高齢者はサルコペニアを予防するために十分なエネルギー、蛋白質を摂る必要があるからとのことだった。活動の低下による筋や関節の痛みを訴える患者さんに具体的なストレッチ方法を教える場面もあった。このように治療だけではなく予防や健康状態の維持・増進に着目した診療に触れることができ、とても興味深かった。

一番左の表記が「家庭医療科」

家庭医療科の待合室

【現地で感じた日本と韓国の医療の共通点、異なる点】

A. 国民皆保険制度、フリーアクセス

韓国は日本に倣って医療制度を整備した歴史があり、日本と同様に国民皆保険を実現していた。また国民が受診する医療機関を自由に選ぶことができるフリーアクセスや、医療の専門志向が強いという特徴も共通していた。

B. 医療保険や医療費

公的な医療保険の自己負担割合は病院の機能によって3~5割以上など異なるそうだ。医療費は比較的安く、例えばクリニックでの診療費の自己負担は1回1~3ドル程度(108円~325円程度)と先生はおっしゃっていた。また公的保険の適用範囲が日本と異なるということも印象的だった。日本ではCT、MRI検査はすでに保険適用であるが、韓国では昨年脳・脳血管MRIが保険適用になったとのことだった。

C. 大病院が多くの患者を抱える

韓国では、大病院に患者が集中するという状況が問題になっていた。SNUHでも専門科の外来は非常に混雑しているようだった。日本同様フリーアクセスで、比較的安く病院にかかることができること、大学病院や専門医の高度な医療がより良いと信じられていることなどから、現時点で専門的な治療が必要のない患者や慢性疾患の患者も大学病院にかかろうとする傾向があるとのことだった。脳・脳血管MRIが保険適用になったことからより大学病院の患者が増えた面もあるようだった。日本もこれまで大病院が多くの患者を抱えることが問題になり、高齢化や医療費増大といった背景から、病院の機能分化やプライマリケアが少しずつ進んできた。韓国は日本と同じく専門医が多く、プライマリケアがあまり浸透していないため、現在の日本よりも大病院への偏りが大きいとのことだった。病院の機能ごとに自己負担額の差はあるもののあまり大きくなく、大学病院に紹介状なしで受診した場合に徴収される追加負担も日本ほど高くないそうだ。現在は地域でのプライマリケアにインセンティブを置くための制度が検討されている段階で、これから状況が改善していくだろうと先生は話されていた。SNUHの家庭医療科の先生は、地域でのフォローが可能な患者さんには近医への受診を促していた。

D. 少子高齢化、地域の医療システム

韓国でも急速に少子高齢化が進んでおり、2065年には高齢化で日本を抜くと言われている。高齢化率は14%(2017年)で、高齢社会に突入している。滞在中に先生や学生から「日本では医師が患者の家を訪問するなど地域でのケアがしっかりしているよね」と言われることが何度かあった。韓国は在宅医療や訪問診療といった地域の医療体制があまり整っておらず、疾患を抱える高齢者の多くは病院に入院しそこで亡くなることが多いそうだ。高齢化が進むなか、日本の在宅医療、訪問診療のような医療が必要だという声もあると伺った。

【実習の服装について】

現地の病院では“セミフォーマル”な服装に白衣を着るのが一般的である。どのような服装が許されるかわからず行く前に韓国人の学生に聞いたりしたが、フォーマルほどきちんとした服装でなくてよく、シャツやブラウスにパンツかスカートという感じだった。靴は黒や茶など落ち着いた色のスニーカーか、ローファーが良さそうだった。実際に行ってみると、皆が落ち着いた色の服を着ているわけでもなく、想像していたほど厳しくはない印象だった。普段の実習着でもよいかもしれないが、ロッカーがおそらくないことと、現地の先生も学生も上記のような服装をしていたので、実習着だと少し目立ちそうだと個人的には感じた。

【現地の学生との交流、観光について】

SNUの主に6年生の学生が、滞在中に何度か観光や食事会を企画してくれた。現地で連絡を取り合うときはカカオトーク(SNSのアプリ)をよく使うので、インストールしておくと便利だった。韓国でインストールすると認証などで手間がかかると聞いたので、日本でインストールしてから行った。
空き時間や休日の観光では、地下鉄をよく利用した。ソウル市内は地下鉄が発達しており、運賃が1,250ウォン(約125円)と安いので、ガイドブックに載っている様々な場所に出かけて楽しむことができた。また市内はバスも発達していた。ソウルは若者に人気の繁華街や夜まで出かけられるような場所が多く、とても活気のある街だった。一方で世界遺産に登録されている朝鮮王朝時代の王宮が市内にいくつもあり、歴史的な雰囲気も感じることができた。私たちが滞在していた大学路(テハンノ)も、ソウル大学や他のいくつかの大学が集まっていることからこの名前がつき、学生が多く賑やかだった。週末は足を延ばして水原(スウォン)市の世界遺産、水原華城(スウォンファソン)を訪れたり、KTX(韓国高速鉄道)で釜山(プサン)、慶州(キョンジュ)に旅行にいったりすることもできた。今年の2月に北大に臨床留学に来ていた慶尚大学校の学生と釜山で再会し、有名なビーチである海雲台(ヘウンデ)、広安里(クァンアンリ)などを案内してもらった。

【ネット環境について】

ゲストハウスの部屋の中にオープンのwifiと有線LANがあった。外では無料wifiが利用できる場所が多かった。私は現地で使える電話番号を持ったほうがよいのではないかと思いSIMカードを検討したが、使ったことがなく設定が不安だったため、結局現地の空港でwifiルーターをレンタルした。海外用wifiルーターを日本で借りていくこともできるが、現地の空港で借りる(韓国の会社のもの)ほうが料金は安く、事前にネット予約ができた。
データ通信量が無制限で1日1GBを超えると通信速度制限がかかるものをレンタルしたが、外で動画などを見ない限りは1GBを超えなかったため不自由なく利用できた。

【実習評価書について】

選択科臨床実習の単位として認めてもらうために、現地の指導医に実習評価書を記載してもらう必要があった。Assistant Professorに評価書を渡し、書いていただいた。Official Seal(公印)は医学部のOIAを訪問して押してもらった。

釜山・甘川文化村(カムチョンムンファマウル)の眺め

韓定食

4. まとめ

A. 今回良かった点

  • Visiting student programで留学生を多く受け入れている大学であり、行く前も現地でも質問などがあればOIAの担当の方と連絡を取ることができたほか、留学生のオリエンテーションが用意されているなど、実習にあたって大きく困ることはあまりなかった。
  • 先生に教えてもらうときは英語を使うので、キクタンなどで英語の医学用語を勉強していったことが役に立った。
  • 興味のある診療科に行くことができたため、日本と韓国の医療の違いに着目しながら実習することができたのはとても面白く勉強になった。

B. 今回良くなかった点

  • 派遣決定までのメールのやりとりで、こちらの意図していることが伝わらなかったり、相手の意図していることが分からず返答に迷ったり、質問に対して答えをもらえなかったりしたことがあった。
  • 家庭医療科だったため外来のみで、病棟を見る機会がなかった。
  • 派遣期間が北大の選択科臨床実習IとIIの期間に重なっていたため、IとIIの実習がそれぞれ3週間、1週間と中途半端な期間になってしまった。

C. 改善案・アイデア

  • 派遣が決まるまでは、会ったことのない先方の担当者と英語でやりとりすることになるので、スムーズにいかないことがあるかもしれない。日本語のメールと書き方も異なるので難しいが、こちらの伝えたいことが伝わる文面であるかをよく確認し、丁寧な表現(I would like to ~/ I would be grateful if you could ~など)を使いながらも用件はなるべく簡潔に書くことが大事だと感じた。特に今回連絡をとっていたOIAの方は、一人で何人もの留学生の受け入れを調整されているそうでとてもお忙しくされていたので、簡潔に用件を述べるのがよいと感じた。
  • 家庭医療科を4週間回ったことで、いくつもある専門外来を一通り見ることができたのは良かった。一方で、ほかに興味のある診療科があれば2週間ずつ違う科を希望して病棟で実習をするのもよいと思う。
  • トライアル派遣であり相手大学の都合によっては希望通りの派遣期間にはならないが、可能であれば選択科臨床実習I,II,IIIのどれかの期間に行くことができるように希望するとよいと思う。

最後に、トライアル派遣にあたり北大の国際連携機構や先方の担当の方とやりとりをしてサポートしてくださった医学教育・国際交流推進センターの先生、書類の準備でお世話になったセンターの事務の皆様や医学科教務担当の皆様にこの場を借りて心よりお礼を申し上げます。実習を受け入れてくださり、貴重な経験をさせてくださった現地の担当者の方、先生方にも心から感謝しています。ありがとうございました。